2005年7月19日

BKKで熱帯医学を学ぶ友から。「日本住血吸虫」

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 写真は授業で使われたものです。先人が原因不明の病気を究明す
るために牛の足を覆い感染が起こるかどうか実験し、その結果、田の水に触れなけれ
ば感染しないということを発見した写真です。先人の苦労がしのばれ、感動しまし た。


バンコックに来て早くも4ヶ月が過ぎました。こちらでは授業、1カ月おきの試験、
フィールドトリップなど忙しい毎日を過ごしています。寄生虫、細菌な
どの授業は殆ど終わり、最近ではエイズ、結核などの授業があります。8月より選択
科目となり、細菌培養と統計学をすることにしました。
授業では、日本人の名前が多く出てきます。細菌学における北里柴三郎、志賀潔(赤
痢菌の発見)、ビタミンの発見者鈴木梅太郎、黄熱病の研究のためガーナで亡くなっ
た野口英世などいずれも輝かしいものばかりです。いずれの研究者も睡眠時間を削っ
て研究に打ち込んだ姿勢が紹介されています。
 細菌学、ウイルス学の授業もありますが、こちらの授業は寄生虫学に重点が置かれ
ています。寄生虫の授業でも以下のように日本人の名前がよく出てきます。
1847藤井好直 日本住血吸虫に関する片山記
1904桂田富士郎 日本住血吸虫の発見
1911横川 定  横川吸虫の発見
1913宮入 慶之助 日本住血吸虫の中間宿主ミヤイリガイの発見
1926浅田 順一  浅田棘口吸虫の発見
1939宮崎 一郎  大平肺吸虫の発見
1927緒方規夫   ツツガムシ病の病原体ツツガムシを発見
その他、蠕虫卵検査法の加藤氏セロファン塗抹法など、この他たくさんの日本人が
登場します。
この中でも、寄生虫学における日本人の業績でもっとも輝かしいのは桂田富士郎の日
本住血吸虫の発見とその生活史の解明といわれています。これに関する記載をイン
ターネットで見つけ要約しましたので、よろしければ読んでください。

日本住血吸虫の発見
日本住血吸虫の発見とその生活史の解明は、20世紀の医学で日本人が果たした最も輝
かしい業績であるといわれています。かつて広島県神辺町片山一帯で、たんぼに入る
と皮膚のかゆみ、発熱、下痢、腹水を来たす風土病が地域住民に深刻な被害を与え、
原因不明の奇病として恐れられていました。  1904年(明治37)に、岡山医学専門学校の桂田富士郎教授は、ネコを解剖し、臓器
を岡山に持ち帰り、5月26日にその門脈内から新しい寄生虫を発見しました。また肝
組織内に患者の糞便に見られたものと同一の虫卵を認めました。さらに7月に再び甲
府でネコを解剖し、門脈から多数の雌雄異体の吸虫を検出して「日本住血吸虫」
(Schistosoma japonicum)と命名し、世界の学会から認められました。
 桂田教授は気力旺盛で3時間の睡眠による超人的な活動、門弟へのふかい思いやり
と支援、明日に延ばさない即決主義などの人間像が紹介されています。
1913年(大正2)に九大の宮入慶之助、鈴木稔(のちに本学細菌学教授)によって中
間宿主カタヤマガイが発見され、日本住血吸虫の生活史のほとんどが日本で解明され
ました。  日本住血吸虫は日本から消滅していますが、今でもアジアに広く分布し多くの人び
とを苦しめています。
片 山 病  岡山県に接する広島県神辺町片山付近の風土病については、19世紀初めの文化時代
から記載されて、古くから不治の病として地域の住民から恐れられていた。漢方医・
藤井好直は、幕末の1847年に『片山記』を執筆している。地域の風土病の症状などに
ついて驚くほど正確に記録しており、これは最初の貴重な医学文献である。片山記は
要約すると次のようである。
 「初夏のころ田を排して水に入る者は漆にかぶれ、手やすねが薄くなり、牛馬も同
じで多くの人々が患った。これは漆のせいだとされた。次いで下痢をしたり、手足が
やせ細り、体が黄色くなって腹ばかり太鼓のようにふくれ、だんだん弱って死んでし
まう人もいる。自分が診ただけでも30人以上の人がこの病気で死んだ。牛や馬も何10
頭も倒れた。この病気は片山の周辺だけではなく、もっと広く存在している。どうい
う毒でこの病気になるのか、原因がわかれば治療もできるが、今まで誰も成功した者
はいない。よその同業者に聞いてみたい。」

友は自ら志願し自費で「熱帯医学」を学び始めた、40の手習い?新たに”他人を助ける為に”学ぶ姿勢が。ヒポクラテスの誓いか。海外でボランテア活動(奉仕活動)をする為に。
私は、ヒマラヤ山中で10年、タイ北部山の中で4年、1997年〜2001年までは老寨山で、「無償の奉仕」をしてきました。今は小さな旅館業と平行でボチボチと、収入がないと続行出来ないから。


林克之 Tue 01:06
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